スリット加工とは?主な種類や用途、メリットと注意点を解説
包装用フィルムやシートなどの材料を、製品や設備に合った幅に仕上げたいときに用いられる方法の一つがスリット加工です。幅の広い材料を必要な寸法に切り分けることで、包装や製袋をはじめとするさまざまな工程に対応できます。
この記事ではスリット加工の仕組み、種類、主な用途、メリット、依頼する際に確認しておきたいポイントを解説します。
スリット加工とは?
スリット加工とは、フィルムや紙などの幅の広い材料を、必要な幅に連続して切り分ける方法です。包装資材や工業用材料など、さまざまな製品の製造工程で利用されています。
ロール状の材料を必要な幅に切り分ける
一般的なスリット加工では、ロール状に巻かれた材料を送り出し、刃物を使って長手方向に切断します。その後、切り分けた材料を再びロール状に巻き取ります。
例えば、幅の広い包装用フィルムを、使用する包装機械に合わせて複数の細いロールに仕上げることが可能です。切断前の大きなロールは「原反」と呼ばれます。原反の幅や厚み、材質などを確認し、目的に応じた寸法に仕上げることが基本です。
なお、材料を一定の長さに切断する作業とは異なり、主に幅方向の寸法を調整するために用いられます。
どのような材料や用途に使われる?
スリット加工は、包装用フィルムだけでなく、紙や不織布、粘着材料などにも利用されています。必要な幅に仕上げることで、製品の製造や後工程で扱いやすい状態にできます。
包装用フィルムを製品に合った幅に仕上げる
包装用フィルムでは、製袋機や包装機械の仕様に合わせて幅を調整するために利用されます。対象となる材料には、PETフィルム、OPPフィルム、CPPフィルム、ポリエチレンフィルムなどがあります。
また、異なる材料を貼り合わせたラミネートフィルムも対象の一つです。例えば、食品包装用のフィルムを製袋工程に適した幅に仕上げたり、工業製品を包むためのシートを指定寸法に切り分けたりする用途があります。
ただし、同じ樹脂を使用していても、厚みや積層構成、表面の状態などによって切断時の挙動は異なります。材料の名称だけで対応できるかを判断せず、個別の仕様を確認することが大切です。
紙や不織布、粘着テープなどにも利用される
紙や不織布、粘着材料なども、必要な幅に切り分ける対象となります。紙の場合は、印刷や製品への組み込みなど、後工程に合わせた幅の調整に利用されます。不織布では、衛生用品や産業用資材などの製造工程で使用されることがあります。
また、粘着テープや電子部品向けの絶縁材料など、機能性を持つ材料にも幅の調整が必要な場合があります。ただし、粘着性のある材料や薄く伸びやすい材料は、刃への付着や変形などに配慮が必要です。材料の性質に合わせた設備や条件を選ぶことが求められます。
スリット加工にはどのような種類がある?
スリット加工には、刃物の形状や切断の仕組みによって複数の方式があります。代表的なものは、次の3種類です。
- シャーカット方式: 上下に配置した円形の刃を組み合わせ、はさみのような仕組みで材料を切る方法です。切断面の品質が求められる場面などで利用されます。
- レザーカット方式: カミソリ状の鋭利な刃を材料に当てて切る方法です。比較的薄いフィルムなどに利用されることがあります。
- スコアカット方式: 円形の刃を受けローラーなどに押し当て、圧力を利用して切る方法です。紙や一部のフィルム、不織布などに使用されることがあります。
いずれの方式も、材料の性質や厚み、刃物の状態、切断条件などによって仕上がりが異なります。そのため、方式ごとの特徴を踏まえ、対象となる材料や求める品質に適した方法を選ぶことが大切です。
スリット加工にはどのようなメリットがある?
スリット加工を利用することで、材料の幅を用途に合わせて調整し、後工程で扱いやすい状態に仕上げられます。主なメリットは次の3つです。
必要な幅に調整して後工程に対応できる
使用する設備や製品の仕様に合わせて材料の幅を調整できることが、大きなメリットです。
包装機械には使用できるフィルムの幅に条件があるため、原反をそのまま使用できるとは限りません。あらかじめ必要な寸法に仕上げておくことで、後工程に適した材料を供給しやすくなります。
ただし、幅だけでなく、巻き方向やロールの外径なども設備の条件に合っている必要があります。
幅の広い材料から複数のロールを作れる
幅の広い原反から、複数の細いロールを取り出せる点もメリットです。例えば、原反の幅と希望する仕上がり寸法の組み合わせによっては、1本の原反から複数の製品を得られます。
また、設備や条件が対応していれば、異なる幅の材料を組み合わせて切り分けることも可能です。
ただし、切断時には端材が発生する場合があります。材料を効率よく使用するには、原反幅と仕上がり幅の組み合わせを検討することが大切です。
ロール状のまま次の工程へつなげられる
切断した材料を再びロール状に巻き取ることで、連続供給を行う設備に対応しやすくなります。製袋や印刷など、ロールから材料を送り出す工程では、適切な幅と巻き取り状態に仕上げられていることが重要です。
ただし、ロールの巻き姿が乱れていると、材料の送り出しに支障が生じる場合があります。そのため、切断だけでなく、巻き取り後の状態まで確認する必要があります。

加工時に注意したいポイントは?
スリット加工では、指定した幅に仕上げるだけでなく、切断面や巻き取り状態などの品質にも注意が必要です。材料の性質によって発生しやすい問題が異なるため、使用目的に合わせて確認しましょう。
幅のばらつきや切断面の状態を確認する
仕上がり幅の精度と切断面の状態は、重要な確認項目です。指定した寸法から大きくずれていると、包装機械への取り付けや後工程での位置合わせに影響する場合があります。
また、切断面にバリや毛羽立ち、裂けなどが生じることもあります。こうした問題は、材料の種類や刃物の状態、切断条件などによって発生の仕方が異なります。そのため、必要な寸法精度と切断面の品質を事前に整理し、仕上がりを確認することが大切です。
材料の伸びやシワ、巻きずれに注意する
薄いフィルムや伸びやすい材料では、張力や巻き取り条件が仕上がりに影響します。材料に過度な張力がかかると、伸びや変形につながる場合があります。一方で、張力が適切でないと、シワや巻きずれなどが発生するケースも見られます。
巻き取り後のロールに段差やシワが生じていると、保管や後工程での使用に支障が出る可能性があります。そのため、材料の性質に応じた条件を設定し、切断後の巻き姿まで確認することが重要です。
材料や設備によって対応できる条件が異なる
対応可能な材料の幅や厚み、仕上がり寸法は、使用する設備によって異なります。薄いフィルムと厚みのあるシートでは、適した刃物や切断条件が同じとは限りません。また、粘着性のある材料や複数の層を貼り合わせた材料では、個別の対応が必要になる場合があります。
そのため、希望する幅に切り分けられるかだけでなく、材料の性質や求める品質に対応できるかを確認することが大切です。
依頼する前に何を確認しておく?
外部の事業者に依頼する場合は、材料の仕様と希望する仕上がりを整理しておくことが重要です。材質や厚み、希望する幅などの基本情報に加え、巻き取り条件や後工程での使用方法も確認しておきましょう。
主な確認項目は次のとおりです。
| 確認項目 | 主な内容 |
| 材料 | 材質、厚み、積層構成など |
| 幅 | 原反幅、希望する仕上がり幅、許容差 |
| 巻き取り | 巻き長さ、紙管の内径、巻き方向など |
| 品質 | 切断面、シワ、巻きずれなどの要求 |
| 使用目的 | 包装機械への供給、製袋などの後工程 |
同じ幅に仕上げる場合でも、巻き方向や紙管の内径が異なれば、使用する設備に適合しないことがあります。
また、材料によっては希望する条件での対応が難しい場合もあるため、必要に応じて試作や仕上がりの確認について相談するとよいでしょう。
まとめ
スリット加工は、フィルムや紙、不織布などの材料を必要な幅に切り分ける方法です。包装資材や工業用材料など、さまざまな用途で利用されています。
代表的な切断方式には、シャーカット方式、レザーカット方式、スコアカット方式があり、材料の性質や求める品質によって適した方法は異なります。
希望する仕上がりを得るためには、幅の精度や切断面の状態だけでなく、巻き取り条件や後工程での使いやすさまで考慮することが大切です。
